―プロローグ―
一般的にこの世には存在しないセカイ、幻だと思われる世界があるのは、どこでも同じことだと思う。
実際、その幻を信じる人も信じない人も居るのは事実で、それは個人の自由だ。信じる人の大部分はそれが見えて
しまったから、であるが、たぶん信じない人はそれを身をもって体験することが無いからでもある。
人間、居るはずのないものを見たりすると大体は恐怖で動けなくなる。その記憶は目から脳に伝わり、短期記憶を経て
長期記憶へと移り変わり、焼きついたネガフィルムのように永遠に保存される。そして今度それと同じようなものを見たとき、
ジレンマ的なものとして脳から呼び出される。
でも、見てなくても信じてやまない人たちも居る。それは昔からの憧れであったり、そう信じているから、だったり。
俺が幼い頃に初めて本で見た素晴らしい世界。自分の思い通りの理想郷。俺はこんな世界があるなんて素晴らしいと、
ほれ込んだ。でも、それは本当には無い、と本に書いてあった。
しかしながら、「無い」というそれが人間という想像力豊かな生き物の興味を湧かせるのかもしれない。
もし俺が朝起きたらその世界にタイムスリップしてて、人間じゃないものと普通に会話できて意思疎通ができたり、
あるいは超能力を手に入れて相手の行動を読んでびっくりさせたり。でも、そんな思いの中で「そんなことありえない」
と思ってる自分が少しはある。あるはずのない事考えるんじゃねぇ、って反抗してる。
あの頃から少し成長した今でも、俺はそんなセカイに行ってみたい、と大人から半分小ばかにしたような目つきをされる
ような願い事を心の奥底に持っていた。
絶対にいるんだ!って。信じていた。
そんな時、アイツに出会ってしまった。