第七話:「夢-1

 

全身が燃えるように熱い。

背中の傷口が音でも立てるかのように激しく痛む。「彼」を守るためなら、こんな怪我、全然小さなもの。

僕はそんな背中の痛みを我慢しつつも、それを刺激しないようにカクカクとした動きで自分の身体をうつぶせて、

傷を気にしつつ、そっと目を閉じた。

 

しばらく時間がたって、深い睡眠に入ろうとしていたときだった。ふと耳元で小さく自分の名前を呼ばれたような

気がした。僕は、もうちょっと夢の中にいたいんだ、と心で思いながら薄く目を開けると、そこはいつもの部屋はなく、

何故か見渡す限りの夜の草原がひろがっていた。背の低い緑の草が柔らかな月の光と風にさらされ、よりいっそう

鮮やかに茂っているように見える。僕はハッとして、目を大きく開けた。そこには相変わらず緑色の果てしない

草原の光景が広がっていた。

不思議に思った僕は、両手を草原の上に添えてみた。するとすぐに草のくすぐるような感覚がすぐに僕の手に

伝わってきた。すでに眠気なんかぶっ飛んで、完全に目が覚めた身体を起こすと、僕は自分の名前を呼んでいる

声の元へゆっくりと歩き出した。

 

歩き疲れたとき、ふと着いた場所があった。そこにはこんもりとした丘があり、その上には角ばったとても大きな岩が

あって、誰かがその頂上で腰を下ろして空を上げている。シルエットでよく見えないが4〜5mはありそうな竜だ。

 僕は大人の竜と思って、そっとその岩を登って近づいてみることにした。道を尋ねることもあるけど・・・。

「あのー、ここどこですか・・・・?」

「ん・・・俺もわからねぇ、こっちが聞きたいぐらいだ。」

 ここの土地の竜だと思っていたので帰ってきた答えに少しがっかりする自分。せっかくなので雑談をしてみることに。

「星を見てるの?」

「ああ・・・」

「僕もお空を眺めるのが好きなんだw 晴れの空もいいけど、夜空も良いなぁ・・・」

「あぁ・・・」

「ねぇ、どうして『あぁ』しか言わないの?」

「ガキンチョが嫌いだからだ。」

 なかなかに不機嫌ストライクど真ん中な一言。ここまではっきり言う竜もはじめてな気がする。とか心の中で

思いつつ僕はふくれっ面になっていた。

 第一印象最悪というか初対面でいきなりそんなこと言われちゃそうであることは明確だし、苦手だなぁと思った。

相手のほうも「話したくないオーラ」を発生させてるように見えた。

「そ・・・そう・・・」

 僕はそのオーラに少々ビビりつつ、岩から降りて、立ち去ろうとした時だった。突然空が朝日に照らされたように

真っ白な光に包まれたと思うと、それにつれて地面、そして自分の身体をもその白い光に飲み込まれていく。

 

 

 

 まぶしく感じて眼を開けるとそこにはいつもの窓から漏れて僕の顔に差し込んでくる朝日の姿だった。

そして横にはミットと、その上のベットにはファルケンが横で猫のように身体を丸め、背中を向け小さな寝息を立てていた。

 僕はファルケンのズレた布団をそっと肩までかけ直して、もうちょっと時間があるのでまた眠りに着いた。

 ひとまずあの夢はなんだったのだろうとか、二の次にして。